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卸業者がなくなる!?

9月9日付の日経新聞に、JA(農協)が進める資材調達費削減についての記事が載りました。
日経新聞「卸通さない流通」拡大 JA

7日付の日経にも「韓国と比べて、肥料や農薬の価格が高すぎる」として、
政府・与党が、JAに対して改善を促しているという記事が出ています。
(肥料費 日本1170円、韓国544円    農薬費 日本2221円、韓国744円)
農業改革 肥料値下げ促す

政府からの圧力でJAは改革に乗り出すという構図ですが、その実態は「卸を通さない流通」という
何とも安易なものになっています。
確かに、国内の小売りの現状を見ていくと、EコマースなどEDI(電子商取引)の発達で、
消費者が直接生産者とつながるケースが増えていきました。
消費者にも生産者にもメリットがあるということで、その動きはますます活発になりそうです。
では、そもそも「卸」の役割とはなんでしょう?
大きく3つの役割があるように思えます。熊本県のトマト農家を想定して考えてみます。

1)顧客管理機能
自分が作ったトマトを北海道から沖縄まで、あらゆる小売店に出荷しようとすると、
数万件にも及ぶ顧客管理をしなくてはなりません。
しかも、小売店の要望はかなり細かくなります。
「このトマトは〇個、〇時前後に届けてほしい」「サイズはSが〇個、Mが□個、Lは不要」などです。
これらに一つひとつ対応しようとすると、トマトを作っている時間が無くなります。
こういった顧客管理の仕組みそのものを、卸さんに外注することで、
生産者は「作ること」に専念できるわけです。

2)営業(顧客開拓)機能
いくらいいトマトを作っても、売れなければ話になりません。
しかし、生産者が販路拡大のため、熊本から青森までトマトを売りに行くのでは、
コストに見合った成果を出すにはなかなか厳しいものがあります。
顧客を開拓して営業をしていく業務を、卸さんにお願いするわけです。
卸さんは、トマト以外にもたくさんの野菜・果物を扱っているケースが多いですから、
例えば100種類の野菜を紹介するために北海道に行ったとしても、十分採算が取れるわけです。

3)与信機能
与信とは、「信用を与えること」です。金融機関で言えば「製造業なら担保なしで〇円まで貸せる」とか、
「担保アリでも□円は貸せない」と言った話がそれにあたります。
トマト農家の場合、例えば収穫をして小売店に出荷したら、現金が手に入ります。
しかしながら、毎日小売店に入るお金を、毎日振り込んでもらうことはしません。手数料と手間がかかるからです。
通常の小売店の場合、1カ月に売れたトマトの数を集計して、その額の請求書をもらい、
翌月10日までに出してもらえれば、月末には振り込みます、と言った契約をします。
つまり、9月1日に小売店に向けて発送したトマトが現金になって戻ってくるまで、早くても2カ月、
遅いと4か月後になります。
ということは、トマトをバンバン売っているとはいえ、現金がなければ肥料や種の購入代金に困りますね。
そこで登場するのが卸さんです。
卸業者は、トマトを受け取った時点で農家の方に迅速に振り込みをします。
場合によっては、現金で支払ってくれる場合もあります。
これだと、農家は資金繰りを考えなくていいので、とても便利なのです。

卸の役割を整理して、いったん話を戻します。

卸には、上記のような役割があるにもかかわらず、「卸を通さずやることでコストダウンしろ」というのは、
少々乱暴な議論のような気がします。
一時的には効果があっても、新規顧客を開拓できない上に、顧客管理と配送の手間が増え、
生産者からは悲鳴が上がる可能性があります。
Webサイトを使って野菜や果物が売れるのは、特別なものを生産する農家のほんの一握りに過ぎません。
実際、小売店のバイヤーも忙しいわけですから、わざわざすべての農家のホームページを
毎日くまなく研究して売っているわけではありませんからね。
「あの卸さんは最近、顧客開拓をしてくれていないから、契約を辞めよう」というのは意味があるとしても、
一律に「卸を通さない流通をしろ」というのは、合理的でない気がします。
政府・与党も「JAが提示した改革案は不十分」と、さらなる改革を要求する公算が高いとみています。
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